まちづくりを、さとづくりに

鐘崎のあまちゃん:本田藍さん

海女を守ることが海を守ることだし
海を守ることが海女を守ること

鐘崎は宗像市の北西にある鐘ノ岬という岬のふもとにある漁港町。ここに揚げられる魚介類はとにかく活きが良くおいしい。あまり知られていないのだが、鐘崎は全国に多々ある海女という文化の発祥の地でもある。本田藍さんは、そんな鐘崎に関西から移り住み、地域おこし協力隊という形で海女の活動をしている。

マリンスポーツが好きだったので
仕事と趣味が両立できる職場だと思って

私はもともと関西で暮らしていました。大学を卒業して就職し、高校で理科の教員をしていたんですが、教員の仕事は本当に忙しくて、帰宅する時間には日付が変わっているようなこともしょっちゅうでした。そんな仕事からの現実逃避として、当時スキンダイビング(素潜り)を習っていたんですが、ぼんやりといつかは海の近くで暮らしてみたいなと考えていたんです。海の近くで生活をしていくならば、一番わかり易いのが漁業に関わることじゃないですか。インターネットで漁業専門の就職サイトをチェックしていたら、偶然宗像市が「地域おこし協力隊」という形で海女の募集していたのを見つけたんです。そんな選択肢があるんだ!と思いましたし、これだったら、仕事と趣味が両立ができるぞ!と応募したら採用してもらえたので、2018年に高校の先生を辞めて宗像に移住したんです。

初めて潜ったとき
海がとてもきれいだったんです

いきなりの移住だったので、最初はコミュニケーションに不安もあったのですが、いざ飛び込んでみると、皆さん気さくな方ばかり。ご飯に誘っていただけたり、港の近くでウロウロしてたら魚をもらえることもあったり。海女の仕事は、最初はスキルも無いし、道具の使い方もわからないので、潜らなくてもいいワカメ漁のお手伝いからはじめつつ、近くの海で先輩から潜り方とかを教えてもらいました。鐘崎で最初に潜ったとき、たくさんの海藻が茂って、それを食べる魚がいて、きれいで豊かな海だなと感じたのを覚えています。海女さんて、潜水士みたいに何分も海の中に潜っているように思われがちですが、そんなことはないんです。長時間潜ると次の息を整えるのにも時間がかかるので、だいたい30秒から40秒くらいなんです。短く何度も潜る感じで、マリンスポーツとしてやっていたスキンダイビングともまた違うんだなと思いました。一見するときれいだなと感じていた鐘崎の海でも、毎日見ているとペットボトルなどのたくさんのゴミが目に入ります。温暖化の影響で海水の温度も上がり、海の生態系にも変化が起こっているんです。昔は沖ノ島の近くまで行けば1kgを超えるようなアワビが採れるようなこともあったそうですが、最近はそこまでのものはほとんどいないそうです。

壊すのは簡単だけど
守って維持していくのは大変なんです

京都の大学に通っていた頃、私は吉田寮というところに住んでいました。吉田寮は築100年を超える木造の寮で、耐震性などでいろいろと問題になっているんですが、いろいろな人やいろいろな言葉、いろいろ考え方に触れられる場所なんです。今もたくさんの人が、あの場所を残していこうと運動を続けていて、まったく同じでは無いのですが、宗像の海や海女の文化にも同じようなものを感じています。見て見ぬ振りをして壊してしまうのは簡単なんですが、ずっと紡がれて大切にされてきたものを維持して守っていくには、意識していかないといけないんですよね。まずは自分たちにできることとして、海に投棄されているゴミを拾ったり、増えすぎた「ガンガゼ」という毒をもつ針の長いウニの駆除活動をしています。海女の仕事を守っていくことが、宗像の海を守っていくことだと思うんです。

鐘崎の海女さんは、
心の海図をもっている

海女という活動を通して、鐘崎の豊かな海のことや、そこで穫れるおいしい魚介のことを多くの人に知ってもらえたらと思っています。鐘崎で採れる魚が良いってなれば、高い値段で取引もされるようになる。そうすれば、漁獲量を減らしてもみんなが生活できるじゃないですか。それが海産資源を守っていくことにもなっていくと思うんです。海からの恩恵を、取り合うのではなく、共有し合うようなことができればと。あと、自分自身のことでいうと、「海女さんの心の海図」を持てるようになりたいなと思っています。ベテランの海女さんは、たくさんの経験から海の底の形や、複雑な生態系のことを把握していて、心の中にそれぞれの「海図」を持っているんです。海図は商売道具なので親子でもなかなか共有されることのない秘密なのですが、ベテランの方の潜り方を見ているとまるで海の底まで見えているんじゃないかと思えるくらいなんです。私の海図はまだ真っ白ですが、いつかそんな心の海図をもってみたいですね。

さとの、ひっさつわざ

本田さんは、大学時代に畜産組合をつくって、独自にヤギやエミューを育てて食べるという活動をしていたそうだ。自然や食に対して無関心になるのではなく、できる限り自分の責任の取れる範囲に触れ、食べていくことを意識しているのだという。「海に潜れるし、アワビが採れますね」本田さんのひっさつわざは、鐘崎の海に対する姿勢のようだなと思った。

さとのビール第一弾に本田さんが登場!

日の里団地48号棟がリニューアルした「ひのさと48」には、クラフトビールを醸造するブリュワリーがオープン!宗像産大麦を使用した「さとのビール」第一弾には本田さんのひっさつわざをイメージしたパッケージも登場します。味でもパッケージでもお楽しみください!

【宗像の人を紹介】

他にもたくさんのひっさつわざが!

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〒811-3425 福岡県宗像市日の里5丁目3−98日の里団地48号棟(Google Mapで見る)

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